- 歌の意味
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昔から散らすことなく大切にしてきたわが家の梅の花を、あなたに分けてさしあげる心は、この花の色にあらわれて見えることだろう。
- 鑑賞
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巻第一 春歌上 30
詞書「中院にありける紅梅のおろし枝つかはさむと申しける、またの年の二月ばかり、花咲きたるおろし枝に結びつけて、皇太后宮大夫俊成もとにつかはして侍りける」
中院の邸にあった紅梅の下ろし枝を差し上げようと藤原俊成に約束していたが、翌年の二月ごろ、花の咲いた下ろし枝に結びつけて俊成のもとへ贈った歌である。昔からよそへ分け散らすことなく大切にしてきた家の梅を、あなたにだけは分けるのだという厚意は、紅梅の花の色にあらわれて見えるだろう、と詠む。花の色に心の色を重ね、俊成への親しみを表している。
作者の「大納言定房」は源定房である。権中納言源雅兼の子で、右大臣源雅定の養子となり、大納言に至った。
なお本文の二句は「ちららむやとの」とあり、読み仮名の行の「ちらさぬやとの」と一致しない。本文のままでは語として意味が通らないため、ここでは読み仮名の行に従って解した。
初句「昔より」は、ずっと以前から、の意で、家の梅を長く大切にしてきたことを示す。
二句「散らさぬ宿の」は、花を散らさず、またよそへ分け散らすこともなかった家の、の意である。
三句「梅の花」は、贈った紅梅の枝を指す。
四句「分くる心は」の「分くる」は、分け与える意である。長く散らさなかった梅を俊成に分ける厚意をいう。
結句「色に見ゆらむ」の「色」は、紅梅の花の色と、表にあらわれる心の色とを重ねる。「らむ」は現在推量の助動詞で、見えていることだろう、の意となる。
おろしえだ:取り木などにするため親木から下ろし分ける枝
わく:分け与える
- 作者
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源定房
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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風渡る軒端の梅に鶯の 鳴きて木づたふ春の曙
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四方山に木の芽はるさめ降りぬれば かぞいろはとや花の頼まむ