四方山に木の芽はるさめ降りぬれば
かぞいろはとや花の頼まむ
- 歌の意味
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四方の山々に、木の芽をふくらませる春雨が降ったので、花はこの雨を父母として頼りにするのだろうか。
- 鑑賞
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巻第一 春歌上 31
詞書「堀河院御時、百首歌奉りける時、春雨の心をよめる」
堀河百首で「春雨」を題として詠んだ歌である。四方の山々に春雨が降り、木の芽をふくらませているのを見て、やがて咲く花はこの春雨を父母として頼りにするのだろうか、と詠む。木の芽を育て花を咲かせる春雨を、子を育てる親に見立てている。
作者の「前中納言匡房」は大江匡房である。大江成衡の子で、学者として後三条、白河、堀河の三代の天皇に仕え、権中納言に至った。博識で知られ、堀河百首の作者の一人である。
初句「四方山に」は、あたり一面の山々に、の意である。
二句「木の芽はるさめ」の「はる」は、木の芽が「張る」と「春雨」の「春」との掛詞である。木の芽がふくらむことと春雨が降ることとを一続きに表している。
三句「降りぬれば」の「ぬれ」は完了の助動詞「ぬ」の已然形で、「ば」が付いて、降ったので、の意となる。次歌の第三十二首も同じく堀河百首の春雨の歌である。
四句「かぞいろはとや」の「かぞいろ」は父母をいう。「や」は疑問の係助詞で、結句の「む」と係り結びをなす。
結句「花の頼まむ」の「む」は推量の助動詞の連体形で、花が春雨を頼りにするだろうか、の意となる。
はる:木の芽が「張る」意と「春」を掛ける
よもやま:四方の山々
かぞいろ:父母
- 作者
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大江匡房
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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昔より散らさぬ宿の梅の花 分くる心は色に見ゆらむ
- 次の歌
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春雨のふりそめしより片岡の 裾野の原ぞ浅緑なる