- 歌の意味
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春雨が降りはじめてから、片岡の山の裾野の原は、染められたように浅緑色になっている。
- 鑑賞
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巻第一 春歌上 32
詞書は前の歌に続き「堀河院御時、百首歌奉りける時、春雨の心をよめる」
前歌と同じく堀河百首で「春雨」を題として詠んだ歌である。春雨が降りはじめてからというもの、片岡の山の裾野に広がる野原が、雨に染められたかのように淡い緑色に変わってきたと詠む。春雨が野を染めるという見立てで、草が芽吹きはじめた早春の野の色をとらえている。
作者の「藤原基俊」は右大臣藤原俊家の子である。堀河院歌壇で源俊頼と並び称された歌人で、千載和歌集の撰者藤原俊成の師にあたる。官位には恵まれず、従五位上にとどまった。
初句「春雨の」は、前歌の第三十一首を受けて春雨を詠む。
二句「ふりそめしより」の「そめ」は、降り「初め」と色を「染め」との掛詞で、結句の「浅緑」と縁語の関係にある。
三句「片岡の」は、大和国の地名で歌枕である。巻頭の第一首に詠まれた「あしたの原」も片岡にある野で、立春の霞を見た野が春雨に緑づく姿へと移っている。
四句「裾野の原ぞ」は、山すその野原をいう。「ぞ」は係助詞で、結句の「なる」と係り結びをなす。
結句「浅緑なる」の「浅緑」は薄い緑色をいい、「なる」は断定の助動詞「なり」の連体形で「ぞ」の結びとなる。
そむ:降り「初む」意と、色を「染む」意を掛ける
かたをか:大和国の地名で、歌枕
あさみどり:薄い緑色
- 作者
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藤原基俊
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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四方山に木の芽はるさめ降りぬれば かぞいろはとや花の頼まむ
- 次の歌
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つれづれとふれば涙の雨なるを 春のものとや人は見るらむ