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高圓の野路の篠原末さわぎ
そそや木枯らし今日吹きぬなり

歌の意味
高圓の野の道の篠原が、末を騒がせている。それそれ、木枯らしが今日吹いたようだ。
鑑賞
巻第四 秋歌上 373

詞書「法性寺入道前関白太政大臣家の歌合に野風」
 詞書の「野風」は野を吹く風の意である。法性寺入道前関白太政大臣は藤原忠通で、第三百二首の作者である。その家の歌合に出された歌である。
 作者の藤原基俊は平安時代後期の歌人で、藤原俊成の和歌の師にあたる。本巻では第三百五十五首に続く二度目の登場となる。
 場面は秋、場所は大和国の高圓の野である。第三百三十一首の顕昭歌でも詠まれた地である。
 直接の契機は歌合への出詠である。
 木枯らしは晩秋から初冬にかけて吹く、木を枯らすほどの強い風をいう。

 初句
二句「高圓の野路の篠原」で場所が定まる。「篠原」は細い竹の生い茂る原をいう。
 三句「末さわぎ」は、先のほうが騒がしく動く、の意である。草の末が鳴ることによって風が知られる。第三百四十五首の是則歌の「うら枯るる」と同じく、草の先が変化の現れる場所となっている。
 四句「そそや木枯らし」の「そそや」は、それそれ、ほら、と促す感動詞で、第二百八十六首の崇徳院歌でも用いられた語である。二首が同じ語を用い、いずれも風の到来を告げる場面である。
 結句「今日吹きぬなり」の「なり」は伝聞推定の助動詞で、音によって判断していることを表す。秋の風の一連の終わりに、冬に近い木枯らしが現れており、季節がさらに進むことが示される。

しのはら:細い竹の生い茂る原
そそや:それそれ、ほら、と促す感動詞
こがらし:晩秋から初冬にかけて吹く強い風
作者
藤原基俊
出典
新古今和歌集
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