秋来れば朝明の風の手を寒み
山田の引板をまかせてぞ聞く
- 歌の意味
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秋になると、明け方の風に手が寒いので、山田の引板は風が鳴らすのにまかせて、その音を聞いている。
- 鑑賞
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巻第五 秋歌下 455
詞書は前の歌に続き「題しらず」
秋の田と秋の寒さを詠む一連の三首目である。明け方の風に手が冷えるので、山田の引板を自分では引かず、風の鳴らすにまかせて聞く。詞書は前の歌に続いて題しらずで、詠まれた事情は記されていない。
作者は平安後期の学者、歌人で、後三条、白河、堀河の三代に仕え、正二位権中納言に至った。
場面は秋の明け方、場所は引板を張りめぐらした山田である。
直接の契機は伝わらない。
初句「秋来れば」は、已然形に「ば」が付いた形で、秋になると、の意である。
二句「朝明の風の」の「朝明」は、夜明けのころである。
三句「手を寒み」は、「…を…み」の形で、手が寒いので、の意を表す。前歌の第四百五十四首「衣手寒し」の袖の寒さから、手の寒さへと移っている。
四句「山田の引板を」の「引板」は、田に張った縄に板を掛け、縄を引いて鳴らし、鳥獣を追い払う道具である。
結句「まかせてぞ聞く」は、引板を引くことを風にまかせて、鳴る音を聞いている、の意で、「ぞ」は強意の係助詞として連体形「聞く」で結ぶ。寒さのために手を出さず、風に引板を鳴らさせるという、田守の暮らしに即したひなびた機知がある。第四百四十八首では田守が自ら鹿を驚かして追い払ったが、本歌では追い払う役目を風にゆだねており、同じ田守の営みを対照的に描いている。
あさけ:夜明けのころ
ひた:田に張った縄に板を掛け、引いて鳴らして鳥獣を追い払う道具。鳴子
まかす:物事をほかのものにゆだねる
- 作者
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大江匡房
- 出典
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新古今和歌集
- その他の歌
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