郭公鳴く五月雨に植ゑし田を
かりがね寒み秋ぞ暮れぬる
- 歌の意味
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郭公の鳴く五月雨のころに植えた田を刈り、雁の声も寒々と聞こえて、秋は暮れてしまった。
- 鑑賞
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巻第五 秋歌下 456
詞書は前の歌に続き「題しらず」
秋の田と秋の寒さを詠む一連の四首目である。郭公の鳴く五月雨のころに植えた田を刈るころとなり、雁の声も寒く、秋が暮れてしまったと詠む。詞書は前の歌に続いて題しらずで、詠まれた事情は記されていない。
作者は平安中期の官人、文人である。原文の「善滋」は「慶滋」とも書く。
場面は晩秋の刈り入れのころ、場所は刈り入れを迎えた田である。
直接の契機は伝わらない。
初句「郭公」は、夏を告げる鳥である。秋の歌を夏の景物から起こしている。
二句「鳴く五月雨に」の「五月雨」は、陰暦五月ごろに降り続く雨で、田植えの時期にあたる。
三句「植ゑし田を」の「し」は過去の助動詞「き」の連体形で、夏に田植えをしたことを振り返る。
四句「かりがね寒み」の「かり」は、三句を受けて田を「刈り」の意と、「雁が音」の意とを掛ける掛詞である。「寒み」は、寒いので、の意で、刈り入れの時期と、雁の声が寒々と聞こえる季節とが一語に重ねられる。
結句「秋ぞ暮れぬる」の「ぞ」は強意の係助詞で、完了の助動詞「ぬ」の連体形「ぬる」で結ぶ。田植えから刈り入れまでの時の経過を一首に収め、夏の郭公と秋の雁という渡り鳥の対比によって季節の移りを示している。第四百六十首も「刈りて干す山田の稲」と「植ゑし早苗」を対比しており、同じ田の時の移りを別の角度から詠む歌が一連の前後に置かれている。雁は第四百五十八首「雁の羽風」に引き継がれる。
さみだれ:陰暦五月ごろに降り続く雨
かりがね:田を「刈り」の意と、「雁が音」を掛ける。「雁が音」は雁の鳴く声
- 作者
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慶滋為政
- 出典
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新古今和歌集
- その他の歌
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