秋されば雁の羽風に霜降りて
寒き夜な夜な時雨さへ降る
- 歌の意味
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秋になると、雁の羽ばたく風に霜が降り、寒い夜ごとに時雨までが降る。
- 鑑賞
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巻第五 秋歌下 458
詞書は前の歌に続き「題しらず」
秋の田と秋の寒さを詠む一連の六首目である。秋になると雁の羽風に霜が降り、寒い夜ごとに時雨までが降ると、深まる秋の寒さを詠む。詞書は前の歌に続いて題しらずで、詠まれた事情は記されていない。
作者は飛鳥時代、持統天皇、文武天皇の朝廷に仕えた歌人である。
場面は深まる秋の寒い夜々、場所は雁の渡る空の下である。
直接の契機は伝わらない。
初句「秋されば」の「され」は、時が移って来る意の「さる」の已然形で、秋になると、の意である。
二句「雁の羽風に」の「羽風」は、鳥が羽ばたいて起こす風である。第四百五十六首「かりがね寒み」の雁の声を受けて、ここでは雁の羽ばたきが詠まれる。
三句「霜降りて」は、雁の羽風によって霜が降りる、という見立てである。
四句「寒き夜な夜な」は、寒い夜ごとに、の意である。第四百五十七首「秋風寒く」から寒さがさらに深まり、秋の夜の寒さが日を追って続くさまが示される。
結句「時雨さへ降る」の「さへ」は添加の副助詞で、霜に加えて時雨までもが降る、の意である。霜と時雨を重ねて寒さを極め、秋から冬へ近づく気配を示す。時雨は巻頭の第四百三十七首「夕時雨」でも詠まれており、巻の前半から時雨が繰り返し秋の深まりを示す景物として置かれている。
はかぜ:鳥が羽ばたいて起こす風
よなよな:毎夜、夜ごと
しぐれ:晩秋から初冬にかけて降ったりやんだりする雨
- 作者
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柿本人麿
- 出典
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新古今和歌集
- その他の歌
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