花の色に光さし添ふ春の夜ぞ
木の間の月は見るべかりける
- 歌の意味
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花の色に月の光がさし加わる春の夜にこそ、木の間から漏れる月は見るべきものであったのだ。
- 鑑賞
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巻第一 春歌上 73
詞書は前の歌に続き「百首歌奉りける時、よみ侍りける」
前歌と同じく、崇徳院に奉った百首歌の中の一首である。木の間から漏れる月は、花の色に月の光がさし加わって美しさを増す春の夜にこそ見るべきものであった、と詠む。月といえば秋が第一とされるが、花と月とが互いを引き立て合う春の夜の木の間の月にこそ、格別の美しさがあると気づいた歌である。
作者の「上西門院兵衛」は神祇伯源顕仲の娘である。鳥羽天皇の皇女上西門院統子内親王に仕えた女房で、姉に待賢門院堀河がいる。
初句「花の色に」は、桜の花の色に、の意である。
二句「光さし添ふ」は、月の光が加わって照らす、の意である。本巻の第二十四首は梅の枝を漏る月の光を詠んだが、本歌は桜と月を取り合わせ、梅から桜へと移った春の深まりを示す。
三句「春の夜ぞ」の「ぞ」は係助詞で、結句の「ける」と係り結びをなし、ほかならぬ春の夜こそ、と強調する。
四句「木の間の月は」は、木々の間から漏れる月をいう。前歌の第七十二首の月の光を受け、花の下から仰ぐ月を詠む。
結句「見るべかりける」の「べかり」は当然の助動詞「べし」の連用形、「ける」は気づきの詠嘆で、見るべきものであったのだ、の意となる。
このま:木と木の間
- 作者
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上西門院兵衛
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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白雲と峰の桜は見ゆれども 月の光は隔てざりけり
- 次の歌
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小初瀬の花の盛りを見渡せば 霞にまがふ峰の白雲