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さざなみや長等の山の峰続き
見せばや人に花の盛りを

歌の意味
長等の山の峰続きに咲く花の盛りを、人に見せたいものだ。
鑑賞
巻第一 春歌上 75

詞書は前の歌に続き「歌合し侍りける時、花の歌とてよめる」
 前歌と同じ歌合で「花」を題として詠んだ歌である。近江の長等山の連なる峰々に咲きそろった花の盛りを、ぜひ人にも見せたいものだ、と詠む。ひとりで見るには惜しいほどの満開の桜への感動を、人と分かち合いたいという願いで表している。
 作者の「藤原範綱」は平安末期の歌人である。

 初句「さざなみや」は、「志賀」や近江の地名を導く枕詞として用いられる。本巻の第六十六首、第六十七首と同じ初句である。
 二句「長等の山の」の「長等の山」は近江国の歌枕で、第六十六首で「昔ながら」と掛けて詠まれた山である。
 三句「峰続き」は、峰が連なっていることをいう。
 四句「見せばや人に」の「ばや」は自己の願望を表す終助詞で、人に見せたいものだ、の意となる。ここで句切れとなる。
 結句「花の盛りを」は、四句の「見せ」の目的語をあとに置いた倒置で、見せたいものが満開の桜であることを示す。

みねつづき:峰が連なっていること
作者
藤原範綱
出典
千載和歌集
前の歌
小初瀬の花の盛りを見渡せば 霞にまがふ峰の白雲
次の歌
み吉野の花の盛りを今日見れば 越の白嶺に春風ぞ吹く