雉鳴く石田の小野のつぼすみれ
しめさすばかりなりにけるかな
- 歌の意味
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雉の鳴く石田の小野のつぼすみれは、自分のものとしるしを付けておきたいほどに咲きそろったことだ。
- 鑑賞
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巻第二 春歌下 109
詞書は前の歌に続き「同じ百首の時、すみれをよめる」
前歌と同じく堀河百首で「すみれ」を題として詠んだ歌である。雉の鳴く石田の小野に咲くつぼすみれは、他人に摘まれないよう自分のものとしるしを付けておきたいほどに、見事に咲きそろった、と詠む。野に咲くすみれを独り占めしたいほどの愛着を、領有を示す「しめ」を張るという表現で表している。
作者の「修埋大夫顕季」は藤原顕季である。本文の「修埋」は「修理」の誤りと見られ、修理大夫を務めたことによる呼称である。藤原隆経の子で、白河院の近臣として正三位に至った。六条藤家の祖で、人麻呂影供を始めたことでも知られる。
初句「雉鳴く」は、雉の鳴く、の意で、春の野の景を示す。
二句「石田の小野の」の「石田の小野」は山城国の歌枕である。
三句「つぼすみれ」は、すみれの一種、または庭や野に咲く小さなすみれをいう。次歌の第百十首も同じ「つぼすみれ」を詠む。
四句「しめさすばかり」の「しめ」は、領有を示したり立ち入りを禁じたりするための標である。しるしを付けて自分のものにしたいほどに、の意となる。
結句「なりにけるかな」の「に」は完了の助動詞「ぬ」の連用形、「ける」は「けり」の連体形、「かな」は詠嘆の終助詞である。すみれが見事に咲きそろったことへの感動を表す。
きぎす:雉
いはたのをの:山城国の歌枕
つぼすみれ:すみれの一種、小さなすみれ
しめ:領有を示したり立ち入りを禁じたりするための標
- 作者
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藤原顕季
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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今宵寝て摘みて帰らむすみれ草 小野の芝生は露しげくとも
- 次の歌
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道遠み入野の原のつぼすみれ 春の形見に摘みて帰らん