道遠み入野の原のつぼすみれ
春の形見に摘みて帰らん
- 歌の意味
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道が遠いので、入野の原のつぼすみれを、春の形見として摘んで帰ろう。
- 鑑賞
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巻第二 春歌下 110
詞書「嘉承二年后の宮の歌合に、すみれをよめる」
嘉承二年(1107)に后の宮の御所で催された歌合で、「すみれ」を題として詠んだ歌である。道が遠く、たびたび来ることもできないので、入野の原に咲くつぼすみれを、過ぎてゆく春の形見として摘んで帰ろう、と詠む。すみれを春そのものの名残として持ち帰ろうとする心に、去りゆく春を惜しむ思いがにじむ。
作者の「源顕国」は権中納言源国信の子である。左近衛少将を務め、従四位上に至った。
初句「道遠み」の「み」は原因や理由を表す接尾語で、道が遠いので、の意となる。
二句「入野の原の」の「入野」は山城国の歌枕である。
三句「つぼすみれ」は、すみれの一種、または小さなすみれをいう。前歌の第百九首と同じく「つぼすみれ」を詠む。
四句「春の形見に」の「形見」は、過ぎ去ったものを思い出すよすがとなるものをいう。すみれを春の形見とする。
結句「摘みて帰らん」の「ん」は意志の助動詞「む」で、摘んで帰ろう、の意となる。本巻の第百八首の二句「摘みて帰らむ」と同じ句で、すみれの一連を結ぶ。
いるの:山城国の歌枕
かたみ:過ぎ去ったものを思い出すよすがとなるもの
- 作者
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源顕国
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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雉鳴く石田の小野のつぼすみれ しめさすばかりなりにけるかな
- 次の歌
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春深み井手の川水影添はば 幾重か見えむ山吹の花