- 歌の意味
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春が深まったので、井手の川水にその影が映り添うならば、いったい幾重に見えることだろう、山吹の花は。
- 鑑賞
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巻第二 春歌下 111
詞書「堀河院御時百首のうち、山吹をよめる」
堀河百首の中で「山吹」を題として詠んだ歌である。春も深まり、八重に咲く山吹の花の影が井手の川水に映り添うならば、いったい幾重に重なって見えることだろうか、と詠む。八重咲きの山吹がさらに水に映って重なるという発想で、晩春の井手の山吹の豊かな美しさを描いている。
作者の「前中納言匡房」は大江匡房である。大江成衡の子で、学者として後三条、白河、堀河の三代の天皇に仕え、権中納言に至った。博識で知られ、堀河百首の作者の一人である。
本歌から第百十七首までの七首は、山吹を詠む一連である。井手の地や、山吹とともに詠まれるかはづなど、共通の語を重ねながら配列されている。
初句「春深み」の「み」は原因や理由を表す接尾語で、春が深まったので、の意となる。
二句「井手の川水」の「井手」は山城国の歌枕で、山吹とかはづの名所である。本巻の第百十二首、第百十三首、第百十五首も井手を詠む。
三句「影添はば」の「影」は水に映る姿、「添はば」は未然形に「ば」が付いた仮定条件で、映る姿が加わるならば、の意である。
四句「幾重か見えむ」の「か」は疑問の係助詞で、「む」と連体形で結ぶ。八重の花に水の影が重なり、何重に見えるだろうか、と推し量る。本巻の第百十三首「八重山吹」、第百十六首「八重にのみ咲く」も、山吹の八重を詠む。
結句「山吹の花」は体言止めで、一首の主題を最後に示す倒置的な構成となっている。
ゐで:山城国の歌枕で、山吹とかはづの名所
かげ:水に映る姿
- 作者
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大江匡房
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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道遠み入野の原のつぼすみれ 春の形見に摘みて帰らん
- 次の歌
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山吹の花咲きにけりかはづ鳴く 井手の里人今や問はまし