今宵寝て摘みて帰らむすみれ草
小野の芝生は露しげくとも
- 歌の意味
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今夜はここで寝て、すみれを摘んで帰ろう。野原の芝生は、露がしとどに置いていようとも。
- 鑑賞
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巻第二 春歌下 108
詞書「同じ百首の時、すみれをよめる」
前歌と同じく堀河百首で「すみれ」を題として詠んだ歌である。今夜はこの野に寝て、すみれを摘んで帰ろう、野の芝生には露がたくさん置いていようとも、と詠む。すみれのいとおしさに野を立ち去りがたい心を、露に濡れることもいとわない姿で表している。
作者の「中納言国信」は源国信である。右大臣源顕房の子で、権中納言に至った。堀河院歌壇で活躍した歌人で、堀河百首の作者の一人である。
万葉集の山部赤人の歌「春の野にすみれ摘みにと来し我ぞ野をなつかしみ一夜寝にける」を踏まえ、すみれ摘みに来て野に一夜を明かすという趣向を受け継いでいる。
本歌から第百十首までの三首は、すみれを詠む一連である。
初句「今宵寝て」は、今夜は野に寝て、の意で、赤人の歌の「一夜寝にける」を踏まえる。
二句「摘みて帰らむ」の「む」は意志の助動詞で、摘んで帰ろう、の意となる。本巻の第百十首も結句を「摘みて帰らむ」とし、すみれを摘んで帰る心を共有する。
三句「すみれ草」は、すみれのことで、ここで句切れとなり、四句以下と倒置の関係にある。
四句「小野の芝生は」の「小野」は野原のことで、「を」は接頭語である。「芝生」は芝の生えている所をいう。
結句「露しげくとも」の「とも」は逆接仮定の接続助詞で、露がたくさん置いていようとも、の意である。露に濡れることもいとわない心を示す。
をの:野原
しばふ:芝の生えている所
- 作者
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源国信
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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思ふこと千枝にやしげき呼子鳥 信太の森のかたに鳴くなり
- 次の歌
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雉鳴く石田の小野のつぼすみれ しめさすばかりなりにけるかな