- 歌の意味
-
岩を越えて流れる清滝川の流れが速いので、波が枝を折ってかけている、岸の山吹よ。
- 鑑賞
-
巻第二 春歌下 160
詞書「堀河院御時百首歌たてまつりける時」
山吹の一連の三首目である。急流に打たれて岸の山吹の枝が折れかかるさまを詠む。詞書によれば堀河天皇の御代に詠進された百首歌の一つで、巻第一の第十首
第十九首、本巻の第百二十三首も同じ堀河百首の詠である。
作者の「権中納言国信」は源国信(一〇六九〜一一一一)である。源顕房の子で、権中納言に至った。巻第一では第十首に現れた。
場面は春の終わり、場所は山城国の清滝川である。巻第一の第二十七首で西行が雪解けの白波を詠んだのと同じ川である。
直接の契機は百首歌の詠進である。
初句「岩根越す」は、岩を越えて流れる、の意である。「岩根」は地についた岩をいい、第百三十一首の崇徳院歌にも用いられた語である。
二句「清滝川の」で場所が定まる。
三句「早ければ」は流れが速いので、の意の確定条件である。
四句「波折りかくる」は、波が枝を折ってかける、の意である。波が枝に触れて折り曲げるさまを、人の手のような働きとして描いている。巻第一の第七十一首で崇徳院が波に柳を織り敷かせたのと同じく、波を働き手として扱う型である。
結句「岸の山吹」は体言止めである。急な流れと、水面に垂れかかる黄色い花との取り合わせで、動と静が一首に収められている。巻第一の第二十七首が同じ川を雪解けの季節で詠んだのに対し、こちらは春の終わりであり、同じ川が季節を進めて現れている。
いはね:地についた岩。岩の根元
はやし:流れが速い
をりかく:折って掛ける
- 作者
-
源国信
- 出典
-
新古今和歌集
- その他の歌
-