あしひきの山吹の花散りにけり
井手のかはづは今や鳴くらん
- 歌の意味
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山吹の花は散ってしまった。井手の蛙は今ごろ鳴いているだろうか。
- 鑑賞
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巻第二 春歌下 162
詞書「延喜十三年亭子院歌合歌」
山吹の一連の五首目で、この一連を結ぶ。前歌が咲くころを推し量ったのに対し、この歌は散った後の蛙を推し量る。二首が同じ型を、開花と落花で分け持っている。詞書によれば延喜十三年に亭子院で催された歌合の歌である。亭子院は宇多天皇の御所を指す。
作者の藤原興風は平安時代前期の歌人で、三十六歌仙の一人に数えられる。
場面は春の終わり、場所は山城国の井手である。第百五十九首と同じ土地であり、一連の中で井手が二度現れる。
直接の契機は歌合への出詠である。
初句「あしひきの」は本来「山」に掛かる枕詞で、ここでは「山吹」に掛けて用いられている。
二句
三句「山吹の花散りにけり」の「けり」は詠嘆で、散ったのだなという気づきを示す。目の前の事実がまず置かれる。
四句「井手のかはづは」で、離れた土地の蛙に思いが向かう。井手は山吹と蛙の名所であり、その両方を備えた場所として広く知られていた。
結句「今や鳴くらん」の「や」は疑問の係助詞、「らん」は現在推量の助動詞で、今ごろ鳴いているだろうか、と結ぶ。前歌の「今か咲くらん」と同じ形であり、二首が並べて置かれている。
手元の山吹が散ったことを根拠に、遠い井手の蛙の様子を推し量る構成である。見えない場所の今を思う型は、第百五十八首の家隆歌にも共通する。
あしひきの:「山」に掛かる枕詞
かはづ:蛙
ゐで:山城国の地名。山吹と蛙の名所
- 作者
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藤原興風
- 出典
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新古今和歌集
- その他の歌
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