かはづ鳴く神なび川に影見えて
今か咲くらん山吹の花
- 歌の意味
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蛙の鳴く神なび川に影が映って、今ごろ咲いているのだろうか、山吹の花は。
- 鑑賞
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巻第二 春歌下 161
詞書「題しらず」
山吹の一連の四首目である。水に映る影から、山吹が咲いているだろうと推し量る。詞書は「題しらず」で、詠作の事情は伝わっていない。
作者の厚見王は奈良時代の歌人で、『万葉集』に歌を残している。
場面は春の終わり、場所は神なび川である。神なびは神の鎮まる山をいい、その麓を流れる川を指す。
詠まれた直接の契機は伝わらない。
この歌は『万葉集』巻八に厚見王の歌として収められている。なお本文には四句の「今か」について、諸本に「今や」とする形のあることを示す注記が付されている。
初句「かはづ鳴く」の「かはづ」は蛙である。山吹と蛙を取り合わせるのは古くからの型で、次の第百六十二首でも同じ組み合わせが用いられる。
二句「神なび川に」で場所が定まる。
三句「影見えて」は、水面に影が映って、の意である。花そのものではなく、水に映った影が示される。
四句「今か咲くらん」の「か」は疑問の係助詞、「らん」は現在推量の助動詞で、今ごろ咲いているのだろうか、と問う形になる。
結句「山吹の花」は体言止めである。水に映る影を見て、上を見上げないまま花の開花を推し量るという構成であり、直接には見ずに判断する型が用いられている。巻第一の第七首で西行が苔の下の水を推し量ったのと同じ方法である。
かはづ:蛙
かみなび:神の鎮まる山。またその近くの地
かげ:水面などに映る姿
- 作者
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厚見王
- 出典
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新古今和歌集
- その他の歌
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