照射する火串の松も消えなくに
外山の雲の明けわたるらん
- 歌の意味
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照射の火串に挿した松明もまだ燃え尽きていないのに、どうして外山にかかる雲は、もう一面に明けてゆくのだろう。
- 鑑賞
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巻第三 夏歌 197
詞書「ともしの歌とてよめる」
「照射」を題として詠んだ歌である。照射の火串に挿した松明がまだ燃え尽きないうちに、もう外山の雲が白々と明けてゆく、と詠む。松明一本も燃え尽きないうちに明けてしまう夏の夜の短さを、狩りの火を尺度として表している。
作者の「大蔵卿行宗」は源行宗である。参議源基平の子で、大蔵卿に至った。
初句「照射する」は、照射の狩りをする、の意である。本巻の第百九十四首と同じ初句である。
二句「火串の松も」の「火串」は照射の松明を挟んで立てる木の串、「松」は松明をいう。次歌の第百九十八首も同じ「火串の松も」を二句に置く。
三句「消えなくに」の「なくに」は、〜ないのに、の意である。
四句「外山の雲の」の「外山」は人里に近い山をいう。
結句「明けわたるらん」の「わたる」は一面に〜する意、「らん」は原因を推量する現在推量の助動詞である。どうして明けてゆくのだろう、と夏の夜の短さを嘆く。本巻の第百四十八首が時鳥を待つ身には夏の夜も長いと詠んだのに対し、本歌は狩りの火も尽きぬうちに明けると夏の夜の短さを詠む。
ほぐし:照射の松明を挟んで立てる木の串
とやま:人里に近い山
あけわたる:一面に明けてゆく
- 作者
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源行宗
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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五月闇しげき端山に立つ鹿は 照射にのみぞ人に知らるる
- 次の歌
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照射する火串の松も燃え尽きて 帰るに迷ふ下つ闇かな