霜冴えて小夜もながゐの浦寒み
明けやらずとや千鳥鳴くらん
- 歌の意味
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霜が冷たく冴えて、夜も長い長居の浦が寒いので、まだ明けきらないといって千鳥は鳴いているのだろうか。
- 鑑賞
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巻第六 冬歌 427
詞書は前の歌に続き「千鳥をよめる」
千鳥の題で詠んだ歌である。霜が冷たく冴えて夜も長い長居の浦が寒いので、なかなか夜が明けないといって千鳥は鳴いているのだろうか、と詠む。冬の長い夜の寒さに耐えかねて鳴く千鳥の声に、夜明けを待ちわびる心を聞き取っている。
作者の「法印静賢」は藤原通憲、すなわち信西の子である。天台宗の僧で法印に至り、後白河院の近くに仕えた。
第四百二十四首から第四百二十八首までの五首は千鳥を詠む歌である。千鳥は冬の川辺や海辺で鳴く鳥として、冬の景物とされた。
初句「霜冴えて」は、本巻の第四百一首と同じ初句で、霜の冷たさをいう。
二句「小夜もながゐの」の「ながゐ」は、夜も長い意の「長」と、摂津国の歌枕「長居の浦」とを掛ける掛詞である。
三句「浦寒み」の「み」は、〜ので、と原因を示す接尾語で、浦が寒いので、の意である。
四句「明けやらずとや」の「明けやらず」は、夜がまだ明けきらない意である。「や」は疑問の係助詞で、結句の「らん」と連体形で結ぶ。
結句「千鳥鳴くらん」の「らん」は現在推量の助動詞である。前々歌の第四百二十五首が夜明けの月を惜しんで鳴く千鳥を詠むのに対し、本歌は明けない夜を嘆いて鳴く千鳥を詠み、逆の心を対比させている。
ながゐ:夜が長い意の「長」と、摂津国の歌枕「長居の浦」とを掛ける
あけやる:夜がすっかり明ける
- 作者
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静賢
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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岩越ゆる荒磯波に立つ千鳥 心ならでや浦伝ふらん
- 次の歌
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霜枯れの難波の葦のほのぼのと 明くる湊に千鳥鳴くなり