霜枯れの難波の葦のほのぼのと
明くる湊に千鳥鳴くなり
- 歌の意味
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霜に枯れた難波の葦の穂がほのかに見えて、ほのぼのと夜が明けてゆく湊に、千鳥が鳴いている。
- 鑑賞
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巻第六 冬歌 428
詞書は前の歌に続き「千鳥をよめる」
千鳥の題で詠んだ歌である。霜に枯れた難波の葦の穂がほのかに見えて、ほのぼのと夜が明けてゆく湊に、千鳥が鳴いている、と詠む。冬の夜明けの難波の湊を、霜枯れの葦と千鳥の声で描き、淡い光の中の寂しい情景を伝えている。
作者の「賀茂成保」は賀茂社の神職の家の人であるが、詳しい伝は明らかでない。
第四百二十四首から第四百二十八首までの五首は千鳥を詠む歌である。千鳥は冬の川辺や海辺で鳴く鳥として、冬の景物とされた。本歌はその結びの歌で、前歌の第四百二十七首の明けない夜を受けて、夜の明けてゆく湊で千鳥の一連を閉じている。
初句「霜枯れの」は、霜にあたって枯れた、の意である。本巻の第四百四十九首も同じ初句で始まる。
二句「難波の葦の」の「難波」は摂津国の地で、葦の名所として知られる歌枕である。上二句は「ほのぼの」を導く序詞の働きをする。
三句「ほのぼのと」の「ほ」は、葦の「穂」と、夜がほのかに明ける「ほのぼの」とを掛ける掛詞である。
四句「明くる湊に」の「明く」は夜が明ける意で、「湊」は船の停泊する港である。前歌の第四百二十七首の「明けやらず」に対し、本歌では夜が明けてゆく。
結句「千鳥鳴くなり」は、本巻の第四百二十四首と同じ結句で、千鳥を詠む一連の初めと終わりに同じ句が置かれている。
しもがる:霜にあたって草木が枯れる
なには:摂津国の地で、葦の名所
ほのぼの:葦の「穂」と、夜がほのかに明ける意を掛ける
みなと:船の停泊する港
- 作者
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賀茂成保
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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霜冴えて小夜もながゐの浦寒み 明けやらずとや千鳥鳴くらん
- 次の歌
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かたみにや上毛の霜を払ふらむ 友寝の鴛鴦の諸声に鳴く