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高砂の尾上の桜咲きぬれば
梢にかくる沖つ白波

歌の意味
高砂の峰の桜が咲いたので、沖の白波が梢にかかっているように見える。
鑑賞
巻第一 春歌上 68

詞書「花歌とてよめる」
 「花」を題として詠んだ歌である。海辺の歌枕である高砂の峰に桜が咲くと、その白い花が、まるで沖から打ち寄せる白波が梢にかかっているかのように見える、と詠む。海辺の地名を生かし、山の桜を海の白波に見立てて、山と海とを一つの景に結びつけている。
 作者の「賀茂成保」は賀茂神社に仕えた賀茂氏の一族の歌人である。

 初句「高砂の」は、播磨国の海辺の歌枕で、松の名所として知られる。
 二句「尾上の桜」の「尾上」は峰の上、山の頂をいう。
 三句「咲きぬれば」の「ぬれ」は完了の助動詞「ぬ」の已然形で、「ば」が付いて、咲いたので、の意となる。
 四句「梢にかくる」は、梢にかかる、の意で、白波が梢にまで打ちかかるさまに見立てる。
 結句「沖つ白波」は体言止めで、本巻の第八首と同じ結句である。第八首が海の実景としての白波を詠んだのに対し、本歌は桜を白波に見立てている。前の第六十五首「花の白波」とも通じ合う。

をのへ:峰の上、山の頂
作者
賀茂成保
出典
千載和歌集
前の歌
さざなみや志賀の花園見るたびに 昔の人の心をぞ知る
次の歌
おしなべて花の盛りになりにけり 山の端ごとにかかる白雲