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朝戸開けて見るぞ寂しき片岡の
楢の広葉に降れる白雪

歌の意味
朝、戸を開けて見るのは寂しいものだ。片岡の楢の広い葉に降り積もった白雪よ。
鑑賞
巻第六 冬歌 445

詞書「山家雪朝といへる心をよみ侍りける」
 山家雪朝、すなわち山の住まいの雪の朝という題で詠んだ歌である。朝、戸を開けて見るのは寂しいものだ、片岡の楢の広い葉に降り積もった白雪は、と詠む。夜の間に降った雪を朝戸を開けて初めて目にした驚きと、白一色に覆われた山里の寂しさとを、楢の広葉に積もる雪に集約している。
 作者の「大納言経信」は源経信である。権中納言源道方の子で、大納言に至り、大宰権帥として任地で没した。桂大納言と呼ばれ、詩歌管弦に優れた。小倉百人一首にも歌が採られている。
 第四百四十五首から第四百六十七首まで、雪を詠む歌が続く。本巻の第四百一首は「楢の広葉に時雨降るなり」と楢の広葉に降る時雨を詠んだ。本歌は同じ句に雪を降らせ、時雨の季節から雪の季節への移りを示している。

 初句「朝戸開けて」の「朝戸」は朝に開ける戸である。字余りの句で、戸を開けて初めて雪に気づいたことを示す。
 二句「見るぞ寂しき」の「ぞ」は強意の係助詞で、「寂しき」と連体形で結ぶ。ここで句切れとなり、下の句と倒置になっている。
 三句「片岡の」の「片岡」は、一方が切り立った岡、また小高い岡をいう。
 四句「楢の広葉に」は、本巻の第四百一首の四句と同じ句である。第四百一首が時雨を降らせたのに対し、本歌では雪が積もっている。
 結句「降れる白雪」は体言止めで、二句の「見る」の対象を最後に示す。「降れる」の「る」は存続の助動詞「り」の連体形で、降り積もっている、の意である。

あさと:朝に開ける戸
かたをか:一方が切り立った岡、小高い岡
作者
源経信
出典
千載和歌集
前の歌
冴ゆる夜の槙の板屋の独り寝に 心砕けと霰降るなり
次の歌
夜をこめて谷の戸ぼそに風寒み かねてぞしるき峰の初雪