夜をこめて谷の戸ぼそに風寒み
かねてぞしるき峰の初雪
- 歌の意味
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まだ夜の深いうちから、谷の住まいの戸に吹く風が寒いので、前もってはっきりとわかることだ。峰に初雪が降ったことが。
- 鑑賞
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巻第六 冬歌 446
詞書「百首歌の中に、雪の歌とてよませ給うける」
崇徳院が召した百首歌、いわゆる久安百首の雪の歌である。まだ夜の深いうちから谷の住まいの戸に吹く風が寒いので、見るより先にはっきりとわかる、峰に初雪が降ったことが、と詠む。目で見る前に、戸口に吹きつける風の冷たさから峰の初雪を察知するという、肌で感じ取る冬の到来である。
作者の「崇徳院御製」は第七十五代の崇徳天皇である。鳥羽天皇の皇子で、保元の乱に敗れて讃岐に流された。久安百首を企て、藤原顕輔に詞花和歌集を撰ばせた。小倉百人一首にも歌が採られている。
第四百四十六首から第四百四十八首までの三首は、崇徳院の久安百首の雪の歌である。久安百首は、崇徳院が藤原顕輔、藤原俊成らに召した百首歌で、久安六年(1150)に詠進された。
初句「夜をこめて」は、まだ夜の明けないうちに、夜の深いうちから、の意である。
二句「谷の戸ぼそに」の「戸ぼそ」は戸、扉のことで、谷あいにある住まいの戸をいう。
三句「風寒み」の「み」は、〜ので、と原因を示す接尾語で、風が寒いので、の意である。
四句「かねてぞしるき」の「かねて」は前もって、「しるし」ははっきりしている意である。「ぞ」は強意の係助詞で、「しるき」と連体形で結ぶ。ここで句切れとなる。次歌の第四百四十七首も、見ないうちに雪を知ることを詠む。
結句「峰の初雪」は体言止めで、前もって知られたものを最後に示す。
とぼそ:戸、扉
しるし:はっきりしている、著しい
はつゆき:その冬はじめて降る雪
- 作者
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崇徳院
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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朝戸開けて見るぞ寂しき片岡の 楢の広葉に降れる白雪
- 次の歌
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冴え渡る夜半の気色に深山辺の 雪の深さをそらに知るかな