一方になびく藻塩の煙かな
つれなき人のかからましかば
- 歌の意味
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ひとつの方向にたなびいていく藻塩を焼く煙であることよ。つれないあの人も、このように私の方へなびいてくれたならよいのに。
- 鑑賞
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巻第十二 恋歌二 732
詞書「題しらず」
一方へなびく藻塩の煙であることよ、つれない人がこのようであったならば、と詠む。風に吹かれてひとつの方向へなびく藻塩焼きの煙を見て、冷たいあの人もあのように自分になびいてくれたらと願う歌である。
作者の「平忠盛朝臣」は平正盛の子である。白河院、鳥羽院に仕え、武士として初めて内裏への昇殿を許され、刑部卿に至った。平清盛の父で、歌人としても知られる。
初句「一方に」は、ひとつの方向に、の意である。
二句「なびく藻塩の」の「なびく」は風に従って流れる意で、心を寄せて従う意を含む。「藻塩」は海藻に海水を注いで焼き、塩をとることをいう。
三句「煙かな」の「かな」は詠嘆の終助詞で、煙であることよ、の意である。ここで句切れとなる。
四句「つれなき人の」は、思いに応えない冷たい人が、の意である。
結句「かからましかば」の「ましかば」は反実仮想の条件で、このようであったならば、の意である。あとに、どんなにうれしいだろう、という意が省略されている。
もしほ:海藻に海水を注ぎかけて焼き、塩をとること
なびく:風などに従って流れる。人に心を寄せて従う
- 作者
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平忠盛
- 出典
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千載和歌集
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今はさは逢ひ見むまでは難くとも 命とならむ言の葉もがな
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恋ひわびぬ茅渟の益荒男ならなくに 生田の川に身をや投げまし