世とともにつれなき人を恋草の
露こぼれます秋の夕風
- 歌の意味
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いつまでもつれないあの人を恋い慕う、その恋草に置いた露が、いっそうこぼれ落ちる秋の夕風であることよ。
- 鑑賞
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巻第十二 恋歌二 772
詞書「晩風催恋といへる心を詠める」
「晩風催恋」、すなわち夕暮れの風が恋心をかきたてるという題で詠んだ歌である。いつもつれない人を恋う、その恋草の露がこぼれまさる秋の夕風よ、と詠む。恋心を草にたとえて「恋草」とし、そこに置く露を涙に重ね、秋の夕風が吹くといっそう涙がこぼれる恋の悲しみを表している。
作者の「藤原顕家朝臣」は大宰大弐藤原重家の子である。六条藤家の歌人として活躍した。
本巻の第七百四十六首は晩秋の暮れの空を詠み、本歌は秋の夕風を詠んで、秋の夕暮れに恋心を寄せる点で通い合う。
初句「世とともに」は、いつまでも、常に、の意である。
二句「つれなき人を」は、思いに応えない冷たい人を、の意で、三句の「恋」へ続く。
三句「恋草の」の「恋草」は恋心の募るさまを草にたとえた語で、二句から「人を恋ふ」と言いかけて「恋草」へとつなぐ。
四句「露こぼれます」の「露」は恋草に置く露で涙をたとえ、「こぼれます」は、いっそうこぼれ落ちる、の意である。
結句「秋の夕風」は体言止めで、露をこぼさせる秋の夕暮れの風を示し、題の「晩風」を受けて結ぶ。
こひぐさ:恋心の募るさまを草にたとえた語
よとともに:いつまでも。常に
- 作者
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藤原顕家
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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忘らるる憂き名はさても立ちにけり 心の内は思ひ分くとも
- 次の歌
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恋しさをいかがはすべき思へども 身は数ならず人はつれなし