厭はるる身を憂しとてや心さへ
我を離れて君に添ふらん
- 歌の意味
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あの人に嫌われるこの身をつらいと思ってか、心までもが私を離れて、あなたに寄り添っているのだろうか。
- 鑑賞
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巻第十三 恋歌三 830
詞書は前の歌に続き「題しらず」
嫌われる身をつらいと思ってか、心までが私を離れてあなたに寄り添っているのだろうか、と詠む。相手に嫌われる身を見限って、自分の心までもが自分を離れ、相手のもとへ行ってしまったようだという趣向で、身は遠ざけられても心は相手から離れられない恋の思いを表している。
作者の「藤原隆親」は平安時代末期の官人、歌人である。経歴の詳細は多く伝わらない。
本巻の第八百二十六首は嫌われる身でないならと詠んだが、本歌は嫌われる身であることを嘆き、反転した構図をなしている。また本巻の第八百五首が夜床に残した心が自分を待つと詠むのに対し、本歌は心が自分を離れて相手に添うと詠み、身を離れる心という趣向を共有している。
初句「厭はるる」の「るる」は受身の助動詞「る」の連体形で、嫌われる、の意である。本巻の第八百二十六首の二句「厭はれぬべき」と同じく、相手に嫌われる身を詠む。
二句「身を憂しとてや」の「憂し」はつらい意、「や」は疑問の係助詞で、結句の「らん」と係り結びをなす。この身をつらいと思ってか、の意である。
三句「心さへ」の「さへ」は添加の副助詞で、身だけでなく心までも、の意である。
四句「我を離れて」は、私を離れて、の意で、心が自分の身を見捨てて去ることをいう。
結句「君に添ふらん」の「添ふ」は寄り添う意、「らん」は現在推量の助動詞「らむ」の連体形で、「や」の結びとなる。
いとふ:嫌う
そふ:寄り添う
- 作者
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藤原隆親
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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繰り返し悔しきものは君にしも 思ひよりけんしづのをだまき
- 次の歌
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あぢきなく言はで心を尽くすかな 包む人目も人のためかは