あさましやさのみはいかにしなのなる
木曽路の橋のかけわたるらん
- 歌の意味
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あきれたことだ。どうしてそんなにまで、信濃の木曽路の桟橋がかけ渡されているように、あなたは多くの人に心をかけ渡しているのだろう。
- 鑑賞
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巻第十四 恋歌四 862
詞書「女の通ふ人あまた聞こゆるに、つかはしける」
通ってくる男が大勢いると噂される女に、送った歌である。あきれたことだ、どうしてそうまで、信濃の木曽路の橋のように、多くの人に心をかけ渡しているのだろう、と詠む。険しい木曽路の崖に沿ってかけ渡された桟橋に、女が多くの男に心をかけていることを重ね、恋の相手が多いことへのあきれと嫉妬を詠んでいる。
作者の「平実重」は平安時代後期の人物である。経歴の詳しいことは明らかでない。
初句「あさましや」の「あさまし」は意外さにあきれる意で、「や」は詠嘆の間投助詞である。ここで句切れとなる。
二句「さのみはいかに」の「さのみ」はそうまで、それほどまでに、の意で、「いかに」は疑問の副詞である。結句の「らん」と呼応する。
三句「しなのなる」の「しなの」は信濃国のことで、「なる」は所在を表す助動詞「なり」の連体形である。信濃にある、の意となる。
四句「木曽路の橋の」の「木曽路」は信濃国を通る険しい山道で、「橋」は崖に沿って板をかけ渡した桟、いわゆる木曽の桟のことである。
結句「かけわたるらん」の「かけわたる」は、橋が「架け渡る」意と、多くの人に心を「かけ渡る」意とを掛ける。「らん」は現在の原因推量の助動詞で、どうしてかけ渡っているのだろう、の意である。
きそぢ:信濃国を通る険しい山道
かけわたる:橋が「架け渡る」意と、多くの人に心を「かけ渡る」意とを掛ける
- 作者
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平実重
- 出典
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千載和歌集
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人づてはさしもやはとも思ふらむ 見せばや君になれる姿を
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人の上と思はばいかにもどかまし つらきも知らず恋ふる心を