はかなくぞ後の世までと契りける
まだきにだにも変はる心を
- 歌の意味
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むなしいことに、来世までもと約束したことだ。まだその時にもならないうちに、早くも変わってしまう心であるのに。
- 鑑賞
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巻第十五 恋歌五 934
詞書は前の歌に続き「恋歌とて詠める」
前の三首と同じく恋の歌として詠んだものである。はかなくも後の世までと約束したことだ、まだその時にならないうちにさえ変わる心なのに、と詠む。来世まで変わらないと誓い合ったのに、この世のうちにさえ相手の心は早くも変わってしまったと、誓いのむなしさを嘆いている。
作者の「惟宗広言」は日向守惟宗基言の子である。大宰府の府官を務めた家の出で、のちに筑後守となった。俊恵の歌林苑に集った歌人の一人で、今様にも優れて後白河院に仕えた。私撰集「言葉集」を編んだ。
本巻の第九百二十一首「はかなくも来む世をかねて契るかな」と同じく、「はかなく」の初句で来世までの契りのむなしさを詠む。第九百二十一首が来世では同じ身ではいられないことをむなしさの理由とするのに対し、本歌はこの世のうちにさえ変わる心を理由とし、同じ主題を別の方向から詠んでいる。
初句「はかなくぞ」の「はかなく」はむなしく、の意で、「ぞ」は強意の係助詞で、三句の「ける」と連体形で結ぶ。本巻の第九百二十一首の初句「はかなくも」と共通する。
二句「後の世までと」の「後の世」は来世をいう。第九百二十一首の二句「来む世をかねて」と同じく、来世を詠む。
三句「契りける」の「ける」は過去の助動詞「けり」の連体形で、初句の「ぞ」を受けて結ぶ。約束したことだ、の意である。ここで句切れとなり、四句以下と倒置の関係にある。
四句「まだきにだにも」の「まだき」は早くも、その時にならないうちに、の意で、「だに」は軽いものを挙げて重いものを類推させる副助詞である。来世どころか、この世のうちにさえ、の意を表す。
結句「変はる心を」の「を」は逆接の詠嘆を表す終助詞で、変わってしまう心であるのに、の意である。本巻の第九百二十六首、第九百二十七首と同じく心変わりを詠む。
のちのよ:来世
ちぎる:将来を約束する
- 作者
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惟宗広言
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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思ふをも忘るる人はさもあらばあれ 憂きを偲ばぬ心ともがな
- 次の歌
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厭はるるそのゆかりにていかなれば 恋は我が身を離れざるらん