もろともに見し人いかになりにけん
月は昔に変はらざりけり
- 歌の意味
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かつて一緒に月を見た人は、どうなってしまったのだろう。月は昔と少しも変わらないことよ。
- 鑑賞
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巻第十六 雑歌上 995
詞書「年ごろ修行にまかり歩きけるが、帰りまうで来て、月前述懐といへる心を詠める」
長年修行のために諸国を巡り歩いていたが、都に帰ってきて、「月前述懐」の題で詠んだ歌である。昔一緒に月を見た人はどうなってしまったのだろう、月は昔と変わらないことよ、と詠む。久しぶりに帰った都で、月は昔のままに照っているのに、かつて共に眺めた人々の消息は知れないという、変わらぬ自然と移ろう人の世の対比を詠んでいる。
作者の「登蓮法師」は平安時代後期の僧で、俊恵の歌林苑に集った歌人の一人である。『徒然草』には、ますほの薄のことを聞きに雨の中を出かけた逸話が記されている。
本巻の第千三十三首と結句「変はらざりけり」を共有し、人の心は変わっても変わらない自然を詠む点で通っている。
初句「もろともに」は、一緒に、の意である。
二句「見し人いかに」の「し」は過去の助動詞「き」の連体形で、かつて見た人は、の意である。
三句「なりにけん」の「に」は完了の助動詞「ぬ」の連用形、「けん」は過去推量の助動詞で、なってしまったのだろう、の意である。ここで句切れとなる。
四句「月は昔に」は、月は昔と、の意で、移ろう人と変わらぬ月を対比している。
結句「変はらざりけり」の「ざり」は打消しの助動詞「ず」の連用形、「けり」は気づきの詠嘆で、変わらないことよ、の意である。本巻の第千三十三首の結句と同じ句である。
しゆぎやう:仏道の修行のために諸国を巡り歩くこと
じゆつくわい:心中の思いを述べること
- 作者
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登蓮
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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今よりは更けゆくまでに月は見じ そのこととなく涙落ちけり
- 次の歌
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飽かなくに又もこの世にめぐり来ば 面変はりすな山の端の月