深き夜の露吹き結ぶ木枯らしに
空冴えのぼる山の端の月
- 歌の意味
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夜更けの露を吹いて霜に凍らせる木枯らしの中を、冴え冴えと空にのぼっていく山の端の月よ。
- 鑑賞
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巻第十六 雑歌上 1018
詞書「山の端の月といへる心を詠める」
「山の端の月」という題で詠んだ歌である。夜更けの露を吹き結ぶ木枯らしの中に、空へ冴えのぼっていく山の端の月よ、と詠む。夜の露を霜に凍らせるほどの冷たい木枯らしが吹く中、山の端から昇る月がいっそう冴えて見えるという、晩秋から初冬の夜の厳しく澄んだ景を描いている。
作者の「藤原為忠朝臣」は藤原知信の子である。丹後守などをつとめ、和歌を好んで歌会を催した。その子の為業、為経、頼業は出家して大原三寂と呼ばれた。
本巻の第九百九十六首と結句「山の端の月」を共有する。第九百九十六首が旅立ちに際して山の端の月に呼びかけるのに対し、本歌は木枯らしの中に昇る山の端の月の冴えた姿を詠む。
初句「深き夜の」は、夜更けの、の意である。
二句「露吹き結ぶ」の「結ぶ」は、露が凍って霜となる意で、露を吹いて霜にする、の意である。
三句「木枯らしに」は、晩秋から初冬に吹く冷たい強い風に、の意である。
四句「空冴えのぼる」は、冷たく澄みわたった空に昇っていく、の意である。
結句「山の端の月」は体言止めで、本巻の第九百九十六首の結句と同じ句である。
むすぶ:露や霜が生じる、凍る
こがらし:晩秋から初冬に吹く冷たく強い風
やまのは:山の稜線、空と接するあたり
- 作者
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藤原為忠
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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真菅生ふる山下水に宿る夜は 月さへ草の庵をぞさす
- 次の歌
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山風に真屋の葦葺き荒れにけり 枕に宿る夜半の月影