照射して箱根の山にあけにけり
ふたよりみよりあふとせしまに
- 歌の意味
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照射の狩りをして、箱根の山で夜が明けてしまった。二度、三度と寄って来る鹿に出会おうとしているうちに。
- 鑑賞
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巻第十八 雑歌下 1183
詞書「照射を詠める」
照射を詠んだ歌である。照射は、夏の夜に山中で松明をともし、その火に寄って来る鹿を射る狩りである。照射して箱根の山で夜が明けてしまった、二度三度と寄って来る鹿に出会おうとしているうちに、と詠む。「箱根」の「箱」にちなんで、「ふた(蓋)」「み(身)」「あふ(合ふ)」「あけ(開け)」と箱の縁語を連ねたところに、誹諧歌の機知がある。
作者の「橘俊綱朝臣」は関白藤原頼通の子で、橘俊遠の養子となった。修理大夫に至り、伏見に山荘を営んだことから伏見修理大夫と呼ばれた。
誹諧歌の一連の四首目で、夏の照射を詠む。
初句「照射して」の「照射」は、夏の夜に松明をともして鹿を射る狩りである。
二句「箱根の山に」の「箱根」は相模国の山で、「箱」が以下の縁語を導いている。
三句「あけにけり」の「あけ」は、夜が明ける意と、箱を開ける意とを掛けている。「に」は完了、「けり」は詠嘆の助動詞で、ここで句切れとなる。
四句「ふたよりみより」は、二度三度寄って、の意で、「ふた」に箱の「蓋」を、「み」に箱の「身」を掛けている。
結句「あふとせしまに」の「あふ」は、鹿に出会う意と、箱の蓋と身が合う意とを掛けている。倒置によって、三句の夜が明けたわけを示している。
ともし:夏の夜、松明をともして寄って来る鹿を射る狩り
あく:夜が明ける意と、箱を開ける意とを掛ける
ふた:二の意と、箱の蓋とを掛ける
み:三の意と、箱の身とを掛ける
あふ:鹿に出会う意と、箱の蓋と身が合う意とを掛ける
- 作者
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橘俊綱
- 出典
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千載和歌集
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今日かくる袂に根させあやめ草 うきはわが身にありと知らずや
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夏のうちははたかくれてもあらずして おりたちにける虫の声かな