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御幸する高嶺の方に雲晴れて
空にひよしのしるしをぞ見る

歌の意味
御幸なさる高嶺の方角に雲が晴れて、空に日が射し、日吉の神の霊験を目の当たりにすることだ。
鑑賞
巻第二十 神祇歌 1277

詞書「日吉社に御幸侍りける時、雨の降り侍りけるが、その時になりて晴れにければ、詠み侍りける」
 上皇が日吉社に御幸した折、雨が降っていたが、その時刻になって晴れたので詠んだ歌である。御幸する高嶺の方に雲が晴れて、空に日吉のしるしを見る、と詠む。御幸の時刻にちょうど雨がやんで日が射したことを日吉の神の霊験と受け止め、社の名の「日」に寄せて神威をたたえている。
 作者の「中原師尚」は明経道の家の官人で、大外記を務めた。
 前歌の第千二百七十六首に続く日吉の歌である。本巻の第千二百六十九首の「神のしるし」と同じく、神の霊験を「しるし」として詠んでいる。

 初句「御幸する」は、上皇がお出かけになる、の意である。
 二句「高嶺の方に」の「高嶺」は比叡山の峰で、日吉社の背後にあたる。
 三句「雲晴れて」は、雨雲が晴れて、の意である。
 四句「空にひよしの」の「ひよし」は、空に「日」が射す意と、「日吉」の社の名とを掛けている。
 結句「しるしをぞ見る」の「しるし」は神の霊験で、「ぞ」は強意の係助詞、連体形の「見る」で結ぶ。

ひよし:空に「日」が射す意と、日吉の社の名とを掛ける
しるし:神仏の霊験、ご利益
みゆき:上皇などの外出、御幸
作者
中原師尚
出典
千載和歌集
前の歌
いつとなく鷲の高嶺にすむ月の 光を宿す志賀の唐崎
次の歌
深く入りて神路の奥を尋ぬれば 又上もなき峰の松風