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荒き風ふせぎしかげの枯れしより
小萩がうへぞ静心なき

歌の意味
荒い風を防いでいた木の蔭が枯れてしまってから、小萩の身の上が心配で、落ち着いた心もない。
鑑賞
第一部 桐壺

 母君は命婦に託して、帝への返しとしてこの歌を奏上させる。若宮を宮中へ迎えたいという帝の意向に対し、幼い孫の身の上を案じる祖母の心をそのまま述べたものである。命婦がこの歌と形見の品を持ち帰ると、帝はいよいよ悲しみを深め、若宮はやがて宮中へ迎えられることになる。

 「荒き風」は世の妬みや圧力を、「かげ」はそれを防いでいた庇護、すなわち亡き更衣を指す。「小萩」は帝の歌の「小萩がもと」を受けたもので、贈答歌として語を引き継ぐ形になっている。庇護者を失った幼い者が風にさらされるという一つの比喩で、後見のない皇子の立場という物語全体の問題を先取りしている点が重い。

荒き風:世間の妬みや圧力のたとえ。
かげ:木蔭。庇護してくれるもの。ここでは亡き更衣。
静心なき:心が落ち着かない。
作者
紫式部
出典
源氏物語
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