手を折りてあひ見しことを数ふれば
これひとつやは君が憂きふし
- 歌の意味
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指を折って、これまで逢ってきたことを数えてみると、あなたのつらい思いは、この一つだけではないはずだ。
- 鑑賞
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第一部 帚木
五月雨の続く夜、宮中の宿直所に集まった光源氏と頭中将、左馬頭、藤式部丞が、女性の品定めを語り合う。いわゆる雨夜の品定めである。左馬頭は自分の体験として、たいそう嫉妬深い女のことを語り出す。あるとき言い争いになり、女が左馬頭の指に噛みついたので、左馬頭は大げさに痛がってみせ、この歌を詠みかけた。女はこれに返歌をし、結局二人は別れることになる。左馬頭は後年その女を思い返し、悔やむ気持ちを語る。
「ふし」は指の節と、つらい出来事の節目とを掛けた語で、噛まれた指という目の前の一つの傷から、二人の間に積もったつらい事柄全体へ話を広げている。相手の嫉妬をたしなめながらも、ふざけた調子で応じており、深刻な場面をわざと軽く扱おうとする男の態度がそのまま歌になっている。雨夜の品定めで語られる体験談の中でも、具体的な場面が目に浮かぶ一首である。
手を折りて:指を折って数えて。
ふし:指の節と、つらい事柄の節目を掛ける。
憂きふし:つらい思いをした出来事。
- 作者
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紫式部
- 出典
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源氏物語
- その他の歌
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