- 歌の意味
- 逢うのに一夜も間を置かない仲であるなら、昼間であっても何もきまり悪いことはないだろうに。
- 鑑賞
-
第一部 帚木
逃げ出す藤式部丞の後を追うように、博士の娘が詠みかけたのがこの歌である。訪れの絶えがちな相手をとがめながら、それでも即座に歌で応じてみせる才気を示している。藤式部丞はこの応酬を語り終えて、こういう女はやはり気詰まりだと結び、一座は笑いに包まれる。雨夜の品定めはここで終わり、源氏は中の品の女への関心を深めていく。
相手の歌の「ひるま」をそのまま受け取り、同じ語を用いて言い返している。「まばゆからまし」は「きまり悪いだろうに」の意で、反実仮想の形をとることで、実際にはそれほど親しい仲ではないという皮肉を含ませている。滑稽な場面でありながら歌の作りは正確で、学識のある女という設定が言葉の運びによく表れている一首である。
夜をし隔てぬ:一夜も間を置かない。
ひる間:「昼間」と「蒜の間」を掛ける。
まばゆからまし:きまり悪いだろうに。反実仮想の言い方。
- 作者
- 紫式部
- 出典
- 源氏物語
- その他の歌