身の憂さを嘆くにあかで明くる夜は
とり重ねてぞ音もなかれける
- 歌の意味
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わが身のつらさを嘆いても嘆き足りないまま明けていく夜は、鶏の声に重ねて、私の泣く声まで出てしまうのだ。
- 鑑賞
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第一部 帚木
源氏の「つれなきを」の歌を受けて、空蝉が返したのがこの歌である。夫のある身でありながら思いがけない一夜を過ごしてしまい、自分の境遇のつらさを嘆いている。源氏はこの返歌を得て立ち去るが、空蝉はこの後、二度と源氏を受け入れまいと心を固め、弟の小君を介した源氏の求愛にも応じなくなっていく。
「あかで」は「飽かで(満ち足りないで)」と「明けて」を響かせ、明けていく夜と晴れない嘆きとを結んでいる。「とり重ねて」は「鶏」と「取り重ねて」を掛け、源氏の歌の「とりあへぬ」を受けて同じ音を返している。源氏が別れの慌ただしさを詠んだのに対し、空蝉は身分の低さと人妻という立場そのものを嘆いており、二人の見ているものが最初から違うことがはっきりと出ている。
身の憂さ:わが身のつらさ、境遇のつらさ。
あかで:満ち足りないで。「明く」を響かせる。
とり重ねて:「鶏」と「取り重ねて」を掛ける。
音もなかれける:声を上げて泣かれることだ。
- 作者
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紫式部
- 出典
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源氏物語
- その他の歌
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