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咲く花に移るてふ名はつつめども
折らで過ぎ憂き今朝の朝顔

歌の意味
咲く花ごとに心を移すという評判は隠したいけれど、折らずに通り過ぎるのはつらい、今朝の朝顔よ。
鑑賞
第一部 夕顔

 六条の女君の歌を受けて、源氏がその場で返したのがこの歌である。折しも庭には朝顔が咲いており、その花を目の前の題材として詠み込んでいる。表向きは花を惜しむ言葉だが、実際には自分の浮名を意識しつつ、それでも心が引かれるという含みを持つ。源氏はこの後もこの女君との関係を続けるが、通いは絶えがちになり、女君の思いは深く沈んでいく。

 「移るてふ名」は次々に女に心を移すという世間の評判で、源氏自身がそれを自覚していることを示す。「折らで過ぎ憂き」は、折らずに通り過ぎるのがつらいという意で、花を折る行為が女との関係を暗示している。相手の恨みを正面から受け止めず、機知でかわしている形であり、六条の女君との間にすでに食い違いが生じていることが読み取れる。

移るてふ名:心移りするという評判。
つつむ:包み隠す、人目をはばかる。
折らで過ぎ憂き:折らずに通り過ぎるのがつらい。
朝顔:朝に咲く花。
作者
紫式部
出典
源氏物語
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