前の世の契り知らるる身の憂さに
行く末かねて頼みがたさよ
- 歌の意味
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前世の宿縁の薄さが思い知られるわが身のつらさゆえに、行く末まで前もって頼みにするのは難しいことだ。
- 鑑賞
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第一部 夕顔
来世までの約束を誓う源氏の歌に対し、女が返したのがこの歌である。今の境遇の苦しさから前世の縁の薄さを思い、来世まで信じることはできないと答えている。源氏はこの控えめでどこか翳のある返しに、かえって強く心を引かれる。二人はこの後、五条の家を出て、人目のない某の院へ移ることになる。
「前の世の契り」は前世からの宿縁で、今の身の上を前世の報いと見る当時の考え方に沿っている。「知らるる」は自然に思い知られるの意で、自分の意志ではなくそう感じられてしまうという受け身の形になっている。源氏が来世を誓うのに対し、女はこの世の現実から動けないという答えを返しており、二人の立場の隔たりがそのまま歌の隔たりになっている。
前の世:前世。
契り:宿縁、約束。
知らるる:自然と思い知られる。
行く末かねて:将来まで前もって。
頼みがたさ:頼みにしがたいこと。
- 作者
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紫式部
- 出典
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源氏物語
- 前の歌
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優婆塞が行ふ道をしるべにて 来む世も深き契り違ふな
- 次の歌
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いにしへもかくやは人の惑ひけむ 我がまだ知らぬしののめの道