蝉の羽もたち変へてける夏衣
かへすを見てもねは泣かれけり
- 歌の意味
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蝉の羽のような薄い夏衣も季節が変わってしまったが、それが返されるのを見ると、声を上げて泣かれてしまうことだ。
- 鑑賞
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第一部 夕顔
源氏から薄衣が返されたのを受けて、空蝉が詠んだのがこの歌である。都を離れる直前という時期に、かつての一夜の証しである衣が手元へ戻ってきたことになる。拒み通してきた空蝉だが、この場面では心を抑えきれずに涙を見せている。この贈答を最後に、空蝉は伊予へ下り、源氏との間はいったん途絶える。
「蝉の羽」は薄い夏衣のたとえで、空蝉という呼び名の由来ともつながる語である。「たち変へ」は「裁ち」と「立ち返る」を響かせ、衣を仕立て直す意と季節が移る意を重ねる。「かへす」は衣を返す意で、同じ音を繰り返すことで別れの動作が強調される。終始理性で拒み続けた空蝉が、ここで初めて声を上げて泣くという点に、この人物の到達点が置かれている。
蝉の羽:薄い夏衣のたとえ。
たち変へ:「裁つ」と「立ち返る」を響かせ、季節が変わる意も含む。
夏衣:夏の薄い衣。
ねは泣かれけり:声を上げて泣かれてしまった。
- 作者
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紫式部
- 出典
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源氏物語
- その他の歌
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