- 歌の意味
- 吹き乱れる深山おろしに夢が覚めて、涙をさそう滝の音であることよ。
- 鑑賞
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第一部 若紫
北山での最後の夜、源氏は眠れないまま明け方を迎える。山から吹き下ろす風の音に目を覚まし、絶え間なく響く滝の音を聞くうちに、藤壺への抑えがたい思いや、この山で出会った少女のことなど、さまざまな思いが胸に迫ってくる。そのときに詠まれたのがこの歌である。歌を聞いた僧都がすぐさま返しをよこし、二人の心の在り方の違いが浮かび上がる。
「深山おろし」は山から吹き下ろす強い風で、「吹きまよふ」がその乱れた様子を表す。「夢さめて」は文字どおり目が覚めた意であるとともに、迷いの夢から覚めるという仏教的な含みも持つ。滝の音が涙を誘うという言い方で、外の音がそのまま内心の乱れに重ねられており、山の景を借りて源氏の心の落ち着かなさを描き出している。
吹きまよふ:吹き乱れる。
深山おろし:奥山から吹き下ろす風。
夢さめて:目が覚めて。迷いから覚める意も含む。
もよほす:誘い出す。
- 作者
- 紫式部
- 出典
- 源氏物語
- その他の歌