- 歌の意味
- 急に袖を濡らされたその山の水に、住み慣れて澄んだ心が騒ぐことなどあるだろうか。
- 鑑賞
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第一部 若紫
明け方に源氏が滝の音を詠んだのを受けて、僧都がその場で返したのがこの歌である。長年この山に住み、水音にも風の音にも慣れきった身には、心の乱れることなどないと述べ、都から来たばかりの源氏の感傷とを対比させている。源氏はこの返しに、俗世を離れた者の落ち着きを感じ取る。やがて夜が明け、源氏は都へ帰る支度を始める。
「さしぐみに」は突然にの意で、初めてこの音を聞いた源氏の反応を指す。「山水」は相手の歌の滝を受けた語である。「澄める」は水が澄む意と、心が澄んで乱れない意を掛けており、山の水と僧都の心とが一語で結ばれる。同じ滝の音を聞きながら、片や涙し、片や動じないという対比が、二首の贈答の中で明快に示されている。
さしぐみに:突然に、思いがけず。
山水:山の水、ここでは滝。
澄める心:澄みきって乱れない心。「住める」を掛ける。
騒ぎやはする:騒ぐことがあろうか、いや、ない。
- 作者
- 紫式部
- 出典
- 源氏物語
- その他の歌