- 歌の意味
- 奥山の松の戸をまれに開けて、まだ見たことのない花のような顔を見ることであるよ。
- 鑑賞
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第一部 若紫
別れの席で、加持を行った聖が盃を賜り、源氏に向けて詠んだのがこの歌である。長く山にこもって人と交わることのない身が、思いがけず都の貴公子の姿を目にした驚きと喜びを述べている。聖はさらに守りとして独鈷を源氏に贈り、源氏はこれを受け取って山を後にする。
「とぼそ」は開き戸の意で、「松のとぼそ」は山中の粗末な僧坊の戸を指す。「まれに開けて」は、めったに開かない戸をたまたま開けたということで、この出会いの偶然性を強調している。「まだ見ぬ花の顔」は源氏の美しさを花にたとえたもので、僧都の歌と同じく、客人を讃える形になっている。山にこもる者の視点から都の貴公子を見るという構図が、この巻の北山の場面をよく象徴している。
奥山:人里を遠く離れた山の奥。
とぼそ:開き戸、扉。
まれに:めったにないことに。
花の顔:花のように美しい顔。
- 作者
- 紫式部
- 出典
- 源氏物語
- その他の歌