- 歌の意味
- 面影はこの身から離れない。山桜よ、心の限りをその場に留めて来たけれども。
- 鑑賞
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第一部 若紫
都へ戻った源氏は、翌日さっそく北山へ文を送る。少女のことが片時も忘れられず、あらためて引き取りたいという意向を伝えるためである。この歌はその文に添えられたもので、山を下りてなお心が離れないことを訴えている。尼君はこの歌にも返しを送り、源氏の願いは容易には通らない。
「面影」は目の前にいない人の姿が心に浮かぶことで、少女を指す。「山桜」は北山で詠んだ歌の語をそのまま引き継ぎ、一連の贈答の中で少女を表す言葉として定着している。「心の限りとめて来しかど」は、心をすべてその場に置いてきたのにという意で、それでもなお面影がついてくるという逆説的な言い方になっている。離れた後の思いの強さを、留めたはずの心と離れない面影という対で描いた一首である。
面影:心に浮かぶ姿。
身をも離れず:自分の身から離れない。
山桜:ここでは少女をたとえる。
心の限り:ありったけの心。
- 作者
- 紫式部
- 出典
- 源氏物語
- その他の歌