- 歌の意味
- 嵐の吹く峰の上の桜が、散らないうちだけ心をとめておられる。その程度の愛情のはかなさよ。
- 鑑賞
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第一部 若紫
源氏の「面影は」の歌を受けて、尼君が返したのがこの歌である。花の盛りのうちだけ心を寄せるような愛情では頼りにならないと述べ、幼い孫娘の将来を託す相手として源氏を認めていないことを、はっきりと示している。源氏はこの返しに手強さを感じるが、その後も文を送り続け、やがて少女本人へ直接歌を贈るようになる。
「尾の上」は峰の上のことで、山桜の景を引き継いでいる。「嵐吹く」は花を散らす風であり、変わりやすい世の中や人の心を含んで用いられる。「散らぬ間を心とめける」は、散る前だけ心をとめるという意で、源氏の熱意が一時のものだと見なしていることを示す。相手の歌の語を受けながら、賛辞ではなく批評として返している点が、この尼君の一貫した姿勢を表している。
嵐:激しく吹く風。花を散らすもの。
尾の上:峰の上。
散らぬ間:散らないでいる間。
心とめける:心をとどめていた。
- 作者
- 紫式部
- 出典
- 源氏物語
- その他の歌