あさか山浅くも人を思はぬに
など山の井のかけ離るらむ
- 歌の意味
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あさか山という名のように浅くあなたを思っているわけではないのに、どうして山の井の影のように離れてしまうのだろう。
- 鑑賞
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第一部 若紫
尼君からの返事が思わしくない中、源氏は文の中に小さく結んだ一通を忍ばせ、少女本人へ宛てて歌を贈る。幼い相手に向けて、自分の思いは浅くないと訴えたものである。少女はまだ返事を書ける年ではなく、代わりに乳母の少納言が返歌をしたためる。源氏の求婚は続くが、尼君が存命のうちは実を結ばない。
「あさか山」は陸奥の歌枕で、その名から「浅し」を導く。「山の井」は山中の浅い泉で、浅いために人の影がよく映らないとされ、疎遠であることのたとえに用いられる。地名と縁語を重ねて「浅い」「離れる」を導く構成は古歌の手法を踏まえたもので、相手が幼いことを承知しつつ、正式な恋文の形を崩していない点が特徴である。
あさか山:陸奥の歌枕。「浅し」を導く。
山の井:山中の浅い泉。
かけ:影。人の姿の映り。
離るらむ:離れているのだろう。
- 作者
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紫式部
- 出典
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源氏物語
- 前の歌
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嵐吹く尾の上の桜散らぬ間を 心とめけるほどのはかなさ
- 次の歌
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汲み初めてくやしと聞きし山の井の 浅きながらや影を見るべき