寄る波の心も知らでわかの浦に
玉藻なびかむほどぞ浮きたる
- 歌の意味
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寄せてくる波の心も知らないまま、和歌の浦の玉藻がなびくとしたら、それは軽々しいことだ。
- 鑑賞
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第一部 若紫
源氏の「あしわかの浦に」の歌を受けて、乳母の少納言が返したのがこの歌である。相手の本心も分からないうちに、幼い姫君を差し出すことなどできないと、はっきり断っている。源氏はこの返しに、少納言が容易に動かないことを知る。しかし数日後、父宮が姫君を迎え取ろうとしていると聞いた源氏は、その前夜に強引に少女を連れ出してしまう。
「わかの浦」は紀伊の歌枕であると同時に、相手の歌の「あしわかの浦」を受け、「和歌」の意も響かせている。「玉藻」は美しい藻で、ここでは姫君をたとえる。「なびく」は藻が水にゆらぐさまと、女が男に従うことを掛けた語である。「浮きたる」は水に浮くことと、軽々しいことを掛けており、海辺の縁語を一首の中で徹底して用いた技巧的な返しになっている。
寄る波:寄せてくる波。言い寄る男のたとえ。
わかの浦:紀伊の歌枕。「和歌」を響かせる。
玉藻:美しい藻。ここでは姫君のたとえ。
なびく:藻が揺れる。女が男に従う意を掛ける。
浮きたる:水に浮く。軽々しいの意を掛ける。
- 作者
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紫式部
- 出典
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源氏物語
- その他の歌
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