逢はぬ夜をへだつるなかの衣手に
重ねていとど見もし見よとや
- 歌の意味
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逢わない夜を隔てている二人の衣に、さらに衣を重ねて、いっそうよく見よとおっしゃるのだろうか。
- 鑑賞
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第一部 末摘花
姫君から贈られた衣装への返しとして、源氏が白い紙に無造作に書きつけたのがこの歌である。相手の「唐衣」の歌を受け、衣を重ねて贈られたことをそのまま歌の材料にしている。この返しは姫君の邸に届けられ、女房たちは集まってありがたがったという。源氏の側の気のない筆づかいとは対照的な受け取られ方が、この場面のおかしみになっている。
「衣手」は袖のことで、相手の歌の「唐衣」「袂」を確かに受け継いでいる。「へだつる」は二人を隔てる意で、逢わない夜が続いていることを指す。「見もし見よ」は繰り返しによって強調した言い方で、衣を重ねるという行為を、よく見ろという要求に読み替えている。贈答歌の作法は守りつつ、内容は皮肉に傾いており、源氏がこの関係をどう扱っているかがそのまま出ている。
衣手:袖。
へだつる:隔てる、間を置く。
重ねて:衣を重ねる。さらに加える意を掛ける。
いとど:いっそう、ますます。
- 作者
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紫式部
- 出典
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源氏物語
- その他の歌
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