- 歌の意味
- 物思いに沈んで、立って舞えるような身ではないのに、袖を振ったその心を、あなたは知っていただろうか。
- 鑑賞
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第一部 紅葉賀
十月、朱雀院への行幸を控え、宮中で試楽が催される。身重の藤壺は行幸に出られないため、帝の計らいで清涼殿の前庭において予行が行われた。源氏は頭中将とともに青海波を舞い、その姿は人々の涙をさそうほどであった。翌日、源氏は藤壺へ文を送り、この歌を添える。藤壺は無視することもできず、短い返しを寄こす。二人の関係は密通の後も断ち切れないまま続いていく。
「もの思ふ」は藤壺との関係に苦しむ心を指す。「袖うち振りし」は舞の所作であると同時に、古来、袖を振ることが相手への思いを示す仕草とされてきたことを踏まえている。華やかな舞の場を、そのまま相手への訴えに転じる仕立てであり、公の場の所作を私的な意味で読み替えている点に、この二人の関係の危うさが表れている。
立ち舞ふ:立って舞う。
袖うち振る:舞の所作。相手への思いを示す仕草でもある。
知りきや:知っていただろうか。
- 作者
- 紫式部
- 出典
- 源氏物語
- その他の歌