袖ぬるる露のゆかりと思ふにも
なほ疎まれぬ大和撫子
- 歌の意味
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袖を濡らすという露のゆかりと思うにつけても、やはり疎ましく思わずにいられない大和撫子であることよ。
- 鑑賞
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第一部 紅葉賀
源氏の「よそへつつ」の歌を受けて、藤壺が返したのがこの歌である。若宮の存在そのものが二人の罪の証しであり、いとしさと恐ろしさが同時に胸に迫る。返事を書くこと自体が危うい立場でありながら、藤壺は短い一首を書き送る。この後、藤壺は源氏との対面をいっそう厳しく避けるようになり、七月には中宮に立つことになる。
「露のゆかり」は相手の歌の「露けさ」を受けたもので、涙のもととなる縁、すなわち源氏との関係を指す。「大和撫子」は日本の撫子で、源氏の詠んだ「撫子」を受け直しており、贈答歌として語を確かに引き継いでいる。「疎まれぬ」の「ぬ」を打消と取るか完了と取るかで、疎ましく思われない、あるいは疎ましく思われてしまう、と意味が正反対になる。どちらにも読める形に置かれていること自体が、この母の割り切れない心をよく表している。
袖ぬるる:涙で袖が濡れる。
露のゆかり:涙のもととなる縁。
疎まる:うとましく思われる。
大和撫子:日本の撫子。ここでは若宮。
- 作者
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紫式部
- 出典
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源氏物語
- その他の歌
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