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君し来ば手なれの駒に刈り飼はむ
盛り過ぎたる下葉なりとも

歌の意味
あなたが来てくださるなら、乗り慣れた馬に刈って与えましょう。盛りを過ぎた下葉ではあっても。
鑑賞
第一部 紅葉賀

 源典侍は宮中に仕える年配の女官で、教養も家柄も申し分ないが、年に似合わぬ色好みで知られていた。源氏はその噂を面白がり、戯れに言い寄ってみる。老いを自覚しながらも源氏の関心を喜ぶ源典侍が、誘いかけるように詠んだのがこの歌である。源氏はこれに返歌をして応じ、二人の滑稽なやり取りが始まる。この関係はやがて頭中将の知るところとなる。

 「手なれの駒」は乗り慣れた馬で、通い慣れた男を指す。「下葉」は草の下の方の葉で、盛りを過ぎた自分自身をたとえている。老いを自ら認めながら、それでも来てほしいと誘うという内容で、卑下と誘いが同居している。古歌の趣向を踏まえた手堅い作りで、教養の高さを示しつつ、その教養が滑稽な場面に用いられている点に、この人物の描かれ方が表れている。

手なれの駒:乗り慣れた馬。通い慣れた男のたとえ。
刈り飼ふ:草を刈って馬に与える。
盛り過ぎたる:全盛期を過ぎた。
下葉:草の下の方の葉。老いた自分のたとえ。
作者
紫式部
出典
源氏物語
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