立ちぬるる人しもあらじ東屋に
うたてもかかる雨そそきかな
- 歌の意味
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立ち寄って濡れる人などいそうもない東屋に、いやなことに、こうして雨だれがかかることよ。
- 鑑賞
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第一部 紅葉賀
源典侍は源氏への思いを断ちきれず、機会あるごとに恨みがましい言葉をかける。ある日、温明殿のあたりで琵琶を弾いていた源典侍のもとへ源氏が立ち寄り、二人は言葉を交わす。そのときに源典侍が嘆いてみせたのがこの歌である。源氏はこの露骨な訴えを持て余し、一人で老女の嘆きを聞く筋合いもないと閉口する。この夜の逢瀬に、様子を察した頭中将が押し入ってくる。
「東屋」は四方に軒を葺きおろした簡素な家で、催馬楽「東屋」の詞章を踏まえている。その催馬楽が男の訪れを待つ女の歌であることから、訪れる人のない自分の身をそこに重ねている。「雨そそき」は雨だれのことで、涙をも含む。古歌や歌謡を的確に引きながら、しかし内容は年に似合わぬ露骨な訴えであり、その落差そのものがこの場面のおかしみになっている。
立ちぬるる:立ち寄って濡れる。
東屋:四方に軒を葺きおろした簡素な家。催馬楽の曲名でもある。
うたて:いやなことに、情けなく。
雨そそき:雨だれ。
- 作者
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紫式部
- 出典
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源氏物語
- その他の歌
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